今や一家に複数台のPCを持っている人は多い。Netbookの普及により、1人でノートPCとデスクトップPCを併用している人もめずらしくなくなってきた。また、ノートPCを使っていてHDDの空き容量を気にしながら使っている人、さらに最近話題のSSDを使ってみたいが、バイト単価の高さが気になる、という人も増えてきている。
そういった人がまず最初に検討するのは外付けHDDだろう。USBやeSATAで接続する外付けHDDはホットプラグに対応しているため、簡単に複数のPCで使い回することができる。しかし、複数のPCから同時に使いたいとなると、今度はWindowsの機能を使ってファイル共有を行うことになる。その場合は外付けHDDを接続しているPCがファイルサーバとなるため、自分自身が使わなくてもほかの人が使いたいときにはそのPCを立ち上げておかなければならない。
もちろんWindowsファイル共有はWindowsの標準機能であるため、追加費用がかからずに実現できるのは大きなメリットだ。だが、自身も使用するPCにそのようなサーバ機能を持たせるのは意外と不自由なものだ。ほかの人が使っていれば電源を落とすことも、再起動することもままならなくなってしまう。重たい処理を走らせれば別室の家人から「今なにかしてる?」と非難めいた声をかけられるのがオチだ。
そのような人は、NASの導入を検討してみよう。これまでNASは外付けHDDに比べてかなり高価だという問題があった。たとえ不自由があるとはいっても追加費用がかからない方法を選択する人も多いだろう。
ここで紹介するTS-110は、2万を切る低価格ながらも、単なるNASキットにとどまらず、上位機種の持つ機能を受け継いだ多機能モデルだ。初めてNASを導入しようというユーザーにとって有力な選択肢となるに違いない。
それでは、TS-110で何ができるのかを見ていくことにしよう。
Windowsでも基本的なことはできるが、TS-110は専用機であるために機能が豊富で管理もしやすい。みんなで共有するフォルダ、1人だけが書き込みができてほかの人は読み込みだけができるフォルダや、各人専用のフォルダ、というような柔軟な運用が簡単にできるようになっている。また、1人で使いすぎてしまわないよう、容量制限(クオータ)をかけることも可能だ。WindowsだけでなくMacやUNIX/Linuxからも利用できるので、プラットフォームが混在している場合には重宝する。
ネットワーク機能を持たないプリンタでも、TS-110のUSBポートに接続すればネットワークプリンタとして利用できるようになる。3台まで接続できるのでインクジェットプリンタ、ラベルプリンタ、モノクロレーザプリンタなど複数のプリンタがある環境でも十分対応可能だ。
音楽ファイルをTS-110に置き、iTunesサーバ機能を有効にすると各PCのiTunesから共有ライブラリとしてアクセスすることができるようになる。また、UPnPメディアサーバ機能も搭載されており、指定フォルダ以下に置かれたメディアファイルはDLNA対応クライアントから再生が可能だ。
他にもWWW、データベースなどのサーバ機能、FTPやBitTorrentに対応したダウンロードステーションなどNASの範ちゅうに収まらない多機能ぶり、その一方で発熱量の小ささからくる静音性、待機時5ワット、動作時7ワットという低消費電力と、家庭内で24時間稼働させる機器としての要件を十分に満たすスペックと言えよう。
とはいえ、初めての人にとってはNASキットを導入するのは難しいのではないか、という不安もあるだろう。今回は実際の画面を交えて導入までの手順を見ていく。
まずはHDDの取り付けから始める。TS-110は内蔵HDDが1台のみでホットスワップには対応しておらず、取り付けはケースを開けて行う。HDDの内蔵が完了したらファームウェアのインストール、設定だ。TS-110をネットワークに接続し、PCに本体付属のCD-ROMを入れる。インストールで最低限必要なのはQNAP Finderだ。作業の流れはQNAPインストーラからQNAP Finderをインストール、QNAP Finderからクイック設定を起動してWebブラウザからTS-110のインストールと設定を行う。
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